東村山グルメ日記2

志村けんでおなじみの東京都東村山市に限定した超ピンポイントのグルメ情報サイト

もう1つあった!東村山の地ソース ~インタビュー編~

「お待ちしていました」と笑顔で出迎えてくれた「竹田商店」の社長である竹田健次さん。いかにも社長という雰囲気は全くなく、人の良さそうな感じの笑顔……この雰囲気の笑顔、どこかで見たことがあるんだけどなぁ……そんなことを思いながら、私はインタビューを始めた。

竹田健次社長


最初は謙信公ソース

――いろいろと聞きたいことがあるんですが、まずは順を追って、歴史から伺いたいと思います。確かホームページを見ると、創業は明治22(1889)年だとか。最初からソースをつくっていたんですか?

「いやいや、そうじゃないですよ。初代は新潟から出てきて、まずお酒の販売を始めたんです。そして造り酒屋に修行に出た2代目が『これからは製造をしたい』と思ったみたいなんてす。でも醤油や味噌、お酒は資産がないとできないんですよね。1年以上、寝かせる商売なんで。それで始めたのが、お酢なんです。と言っても、全部つくるのではなく、種酢を分けてもらい、それを増やして販売したんです。大正4(1915)年のことです」

――最初につくったのは酢だったんですか。じゃあソースをつくり始めたのは?

「昭和5(1930)年です。明治40年代からウスターソースが出回っていたんですけど、昭和ひとケタになってウスターをつくるところが増えてきたんですよ。ソースはお酢が3分の1から4分の1入っているから、ウチもつくってみようということになったみたいです。当時は『謙信公ソース』として販売していました」


中濃は日本の独自品

――「謙信公ソース」の時代は、ソースの種類はウスターソースだけだったんですか?

「最初はウスターだけだったんですけど、戦時中、ソースは統制品目になってしまうんです。そこで各ソース会社は、統制品目から外れていたリンゴを使って新しい味のソースをつくり始めたんです。それがとろみのあるソースの始まりです」

――エッ、中濃ソースって戦時中につくられたモノなんですか?

「当時は『中濃ソース』とは言わず、『フルーツソース』という言い方をしていました」

――ちょっと待ってください。私はウスターも中濃も、すべてソースのオリジナルは西洋だと思っていたんですけど、今の話を聞くと、とろみのある中濃ソースはひょっとして“ジャパンオリジナル”なんですか?

「そうだと思いますよ。このとろみのあるソースがコロッケとかパン粉を付けて揚げる料理によく合ったんですよ」

――うーん、中濃ソースが“ジャパンオリジナル”だったとは驚きだなぁ。

「だから戦後、ソースは日本の食卓になくてはならない調味料となったんです。野菜にかけたり、いろいろ使われていました。私なんか、小さい頃はご飯にウスターソースをかけて食べてましたよ(笑)」


地元志向のブランド

――さて、いよいよ現在の「辻ソース」になった経緯をお伺いしようと思うのですが、まずは昨年3月の「竹田食品」閉鎖の話から聞かせてください。

「兄が『竹田食品』をやっていて、私も一緒に働いていたのですが、私がソースの製造に専念したいと思い、2006年の秋くらいから製造部門と販売部門を分けようという話があったんです。それで2007年1月に分社して、製造部門を『竹田商店』として立ち上げたのですが、兄が会社をやめたいということで3月に閉鎖してしまったんです」

――「竹田商店」は完全に製造部門だけだったんですか?

「そうなんです。だから『竹田食品』が閉鎖されると販路がなくなってしまい、困ってしまいました。実際、取り引きしていたお客さんは3分の1に減ってしまいましたからね。そこでいろいろ考えて、直接、消費者の皆さんに販売していこうと思い、昨年の7月9日にこのショップをオープンさせたんです」

――馴染みのあるブランドをやめたのはどうしてなんですか?

「やめたんじゃなくて、販売できなくなっていたんです。以前の商標は『竹田食品』が持っていて、実は売却されていたんですよ。取り戻そうと、今も努力しているのですが、なかなかむずかしくて……」

――なるほど。でもどうして新しいブランドが「辻」なんですか?

「昨年6月に『辻』ブランドを立ち上げたんですけど、もともと商標は取ってあったんです。そこの交差点が『恩多辻』ということで、地元の皆さんから『辻のソース屋さん』『辻の竹田さん』と呼ばれていたんですよね」

――ああ、それで「辻」ですか。ブランド名からして地元志向なんですね。

「もともと分社して製造に専念しようと思った時から、地元の野菜などを使ってソースをつくりたいと思っていたんです、これって小さい会社だからできるんですよね。昨年から『朝どれ野菜の新鮮ソース』というモノを、季節感があった方がいいから、2カ月周期でつくってるんです。今までにトマト、梨、ニンジン、カブ、小松菜を使いました」

――今は「地産地消」の時代ですから、とってもいいアイデアだと思います。ところでこのキレイなボトルの辻ソース、どうして年号が入っているんですか?

贈答用のソースセット

「これは贈答用としてつくったギフトパッケージで、テーブルに置いても恥ずかしくない、映えるソースをと考えてつくりました。年号はそのソースの開発時を示しています」

――あっ、なるほど。「ウスターソース」は、昭和5年からつくられたモノだから「1930」か。オシャレですね。

「お陰さまで、『東村山でおみやげに持っていくモノがなかったけど、これはいいや』と買ってくださる人が多いです」


調味料も旬のモノを

――先ほど言われた「朝どれ野菜の新鮮ソース」は、確か量り売りのみの商品ですよね。そもそもどうして量り売りをやろうと思ったのですか?

「お客さんから『特売で500ミリリットルの大きなソースを買ったはいいけど、結局使い切らないうちに賞味期限が来て捨ててしまった』なんて話を聞いて、それならいっぱい買わないで、100ミリリットルの少量ずつ買って使い切った方がいいんじゃないかなと思ったんです。容器を再利用できますしね。大体、昔はお味噌も醤油もお酒も、量り売りが当たり前だったんです。私は子どもの頃に見ていましたから。できれば調味料全般で量り売りを広めたいですね」

――確かに500ミリリットルよりは100ミリリットルの方が早く消費すると思いますけど、もともとソースって、そんなに使うモノじゃないと思うのですが……。

「私は調味料も旬のモノを売りたいと思っています。そのため例えば『朝どれ野菜の新鮮ソース』は賞味期限は短いんですけど、美味しいからすぐ使い切っちゃう。これは大手にはできないと思うんですよね」

――調味料にも旬ですか。いい考えですね。ところで量り売りのソース、なぜ名称を「さらり」「とろり」「どろっと」にしたんですか?

「中身はウスターソース、ソフトソース、かつソースなんですけど、そのまま売るんじゃ面白くないじゃないですか(笑)」

――そう言えば、量り売りはしていないけど、「東村山ソース」って中濃ですよね。「とろり」とどう違うんですか? それから「とんかつソース」と「どろっと」もどう違うんですか?

「ソースは嗜好品なんです。時代とともに求められるソースの味は変わってきます。今だと塩分控えめのマイルド志向ですね。でも昔は酸味と塩分が強かったんです。そういう昭和の配合が『東村山ソース』と『とんかつソース』なんですよね。だから、この2つを試食して、『これこれ、この味だよ』と言う人はいますよ」

この笑顔からもわかるように、竹田社長はとにかくいい人なのだ


夢は完全地元ソース

――話を聞いていると、地元に対する意識をかなり感じるのですが、竹田さんご自身、東村山に対してどのような思いを持っていますか?

「私はここ以外、住んだことがないんですよ。大学ではコンパのたびに『東村山音頭』をやらされました(笑)。志村けんさんが使っている『あんだって?』なんていう東村山弁も当たり前のように染みこんでいます。だからショップを出す時、いろんな人から『最初が肝心だから軽井沢で出した方がいい』『いや鎌倉の方がウケる』とアドバイスをいただきましたけど、ココ(東村山)じゃないと意味がないと言って、この場所に出すことを決めました。ゆくゆくは全部地元のモノでソースをつくりたいと思っています」

――軽井沢や鎌倉で地元のモノ使ったソースをつくり、量り売りをすれば間違いなくウケるでしょうね。でも東村山にショップを出した。それだけで十分思いが伝わってきます。もうすぐショップはオープンから1年になろうとしていますが、この1年、どうでしたか?

「早いですね。本当にアッと言う間です。1周年ということで、7月にはお客さま感謝イベントでもしようかなぁ(笑)」

――最後に読者の皆さんにひと言お願いします。

「気軽にショップをのぞいて試食して、地元の旬のソースを味わってください」


   ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 インタビューを終えて、私はようやく竹田社長が誰に似ているのか、気が付いた。「ポールスタア」桜井憲一社長に似ているのだ。おっとりとした話し方、優しい笑顔、そして何よりも全体から滲み出る人の良さ……これが同じなのだ。桜井社長をインタビューした時、私は「この人の作るソースならきっと美味しいだろう」と思ったが、全く同じことを竹田社長のインタビュー後に思った。
「ソースは嗜好品」と竹田社長の言う通り、人それぞれに好みがあると思う。でも一度、ショップに足を運んで試食して欲しいと思う。地元のソース、多くの人に味わって欲しいなぁ。


【DATA】
住所:東村山市恩多町3-28-5
電話:042-313-2361
営業時間:午前10時~午後6時
定休日:日曜・祝日
駐車場あり
ホームページはこちら




★お店や料理に関する記述は、訪問時における管理人・マサ本人の主観によるものであり、誰が行っても同じ印象を抱くとは限りません。




〔PR〕
らでぃっしゅぼーや 有機・低農薬野菜、無添加食品の会員制戸別宅配サービス




関連記事
コメントの投稿












管理者にだけ表示を許可する
料理ジャンル別検索
広告
リンク
広告
アクセス数
プロフィール

マサ@東村山

Author:マサ@東村山
マサ@東村山

2000年 結婚を機に東村山市に移り住む。

2004年11月 地元で食べ歩く楽しさに目覚め、ブログ「東村山グルメ日記」を書き始める。

2007年 転職を機にもう1つのブログ「好きになろうよ!東村山」を書き始める。

2010年11月 「東村山グルメ日記」のアクセス数が400万を超える。

2011年7月 さらなるバージョンアップを目指してブログを移転。

趣味は地元の食べ歩きと映画鑑賞。家族はカミさんと1男1女。アル・パチーノのようなカッコいい中年を目指す57歳。

広告(日本酒・焼酎)
広告(ダイエット・健康)
広告(ビール・洋酒)
QRコード
QR
広告