東村山市にはいい飲食店がいっぱいある。その中でも久米川駅南口のダイニングバー
「炭味坐(すみざ)」は、3本の指に入る名店だと思っている。そんな
「炭味坐」が閉店するという話は、実はかなり前からマスターから聞いて知っていた。
最初に聞いたのは4~5年前のことだろうか。そのころは「いずれ、ほかの場所で勝負してみたい」というマスターの願望混じりの話だったのだが、次第に「このままじゃいけない」「このままでは成長できない」という意識がマスターの中で強くなってきたのか、現実味を帯びてきた。
そしてオープンから10周年を迎える2014年のかなり早い段階で、マスターは閉店を決意したようだ。「ひと区切り」という意味でも10周年はいい節目だからね。
寂しい話だけど、ステップアップのための閉店だから、「美味しかったよ。ありがとう」と笑顔で送り出さなきゃね……ということで、いつも飲みに付き合ってくれる友人と、
食幸さん夫妻の4人で、閉店の2日前、2014年12月28日に予約して
「炭味坐」に行った。この日が
「炭味坐」での飲み納めであり、私自身の2014年の飲み納めであった。

お店に入ると、テーブル席には取り皿と、マスター手書きの箸袋に入った箸が置かれていた。
この日はいつもと違い、飲み物は別にして、食べ物は1人5000円の予算で、マスターにお任せということにしてみた。最後だから、好きに腕を揮ってもらおうと思ったんだよね。
さて、どんな料理が出てくるのか、楽しみ楽しみ。

まずは日本酒で乾杯。このお店の日本酒のラインナップは本当にいいんだよね。マスターに「隠してるお酒、あるんじゃないの?」と聞くのも楽しかったなぁ。

お通しも「ちょっとしたツマミ」じゃなくて、ちゃんと一品料理になっているところがいいんだよなぁ……なぁんて、今さらのように感慨に耽っていると、来ました、来ました!

超豪華な刺身盛り合わせの登場だ!

いやあ、何点盛りなの(笑)。見てるだけで幸せになってくるよ。食べても、当然のごとく旨い。参ったなぁ、チビチビと飲んでいくつもりだったのに、これじゃあ、ギアがいきなりトップに入っちゃうよ(笑)。

立て続けに、豚肉の冷しゃぶサラダが運ばれて来た。冷たいサラダの中に入っている温かい揚げナスがまた旨いんだなぁ。

当然、日本酒をお代わりしちゃうよね(笑)。

次は揚げ物ですか。いい感じで出てくるなぁ。お皿の下にあるソースが旨い。

あれ、もうお代わりだよ。ホントにマズいなぁ。でも料理が旨いから自然と飲むペースが速くなっちゃうんだよね。困ったなぁ。

ここで冷奴が出るのか。いい箸休めだよ。しかもジャコが乗ってたりして、シッカリひと工夫凝らされている。

そしてサーモンフライ。フライに最初からソースがかかっているのは個人的に好きじゃないんだけど、これは旨いから許す(笑)。いやあ、このソース、絶妙だよ。

ここで赤ワインにチェンジ。この赤ワインが凄いんだ。

見て! 1974年のワインなんだよ。この日はまだ2014年だから、40年前のワインということだ。
飲むと、今まで飲んだ赤ワインとは全く違う味わい。これは肉に合わせて飲んでみたいなぁ。

と思っていると、ホタテを使った軽いツマミが出て来た。いやいや、これも旨いんだけど、そろそろお肉が欲しいなぁ……。

そんな願いが通じたのか、来た、来た、来たーーッ!!!
散らされたガーリックチップとともに牛肉をパクッ。そして赤ワインをグビッ……。
旨いじゃ (゚д゚lll) ないッスカ!! うーん、幸せ。

おおっと、レバーパテも来たぞ。これも赤ワインにバッチリ合う、合う。
料理はこれで終わりなんだけど、「もう少し、何か食べますか?」とマスターが言ってくれたので、お言葉に甘えてお願いしてしまった。

で、出してくれたのがコレ。マスターにはちゃんとこちらの腹具合が見えているんだね。そうなんだよね、これくらいの軽いツマミが欲しかったんだよね。

そして次に出してくれたのは、エリンギのソテー。もうお腹いっぱい。結果的にコレが〆の一品となった。
帰り際、マスターと一緒に写真を撮り、マスター1人だけの写真も撮らせてもらった。最後だからマスターの写真を載せようと思ったんだけど、いろいろ考えた末、やめることにした。自分の中の「送り出す」という気持ちが鈍りそうだから。
「炭味坐」は2014年12月30日に閉店した。その翌日の12月31日、大晦日に私はお店の前を通ってみた。

入り口には閉店の告知は貼られていない。

「CLOSE」の札が出ているだけなので、何だかこの日の夜も営業しそうな感じがする。閉店がウソだとうれしいんだけどなぁ……なんて思ったけど、閉店は現実なんだよね。
年明けにお店の前に行くと……。

入り口に貼り紙が……。

やっぱり閉店なんだよね。残念だけど、仕方がない。
「炭味坐」というお店、最初は炭火焼きをメインにした、割りとどこにでもあるようなスタイルのお店だった。それが刺身を出すようになってから、魚はもちろん、それまで以上に肉料理になこだわり始め、お酒にもこだわるようになった。
肉料理が旨く、魚料理も旨く、お酒もいろんな種類があって旨い……こういうお店って、考えたらあんまりないんだよね。寿司屋でお酒にこだわっているお店はあるけど、寿司屋だから肉料理は基本的に出て来ない。洋食系のお店でお酒にこだわっているお店もあるけど、刺身は基本的に出て来ないよね。居酒屋で肉料理も魚料理も旨いところはあるけど、そういうお店に限ってお酒にあんまりこだわってなかったりする。意外とこの三拍子がそろったお店ってなくて、気が付くと
「炭味坐」は、オンリーワンのお店になっていた。
こういうお店がなくなるのは本当に寂しいけど、ステップアップを目指すマスターの気持ちもわかる。まだ次のお店をどこに出すかは決まっていないらしいけど、きっと新たなファンを獲得してすぐに人気店になっていくと思う。
マスター、今まで美味しい料理、ありがとうございました。久米川での10年の経験を糧に、次のステージ、頑張ってください。1ファンとしてずっと応援しますからね。
【DATA】住所:東村山市栄町2-30-5
電話:042-393-1766
営業時間:午後5時30分~午後11時30分
定休日:月曜
店内禁煙
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